［em］ ページ23
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「友人のままだなんて、私嫌なんです。どうにかもう少し仲良くなれないかって……」
目の前の彼は頬杖をついたまま。
知人＿＿彼はゾムさんを除けば唯一交流のある同期で、三人で行動する事も多かった頼れる存在でした。
さすが幕僚と言うべきか、昔から明るい雰囲気に反してかなり鋭いところがある人で、隠し事もサプライズも、悩み事だってすぐに見抜いて「なんかあった？」と聞いてくるような並外れた観察眼の持ち主でした。
だからってまさか、恋愛事まで見抜くだなんて。
「絶対なんかあったじゃん、見るからに」
「私、そんなにわかりやすいですか？」
「俺が天才だからかなぁ〜」
目の前で頬杖をついてニヤニヤと目を細める彼は「で？どこの誰？」なんて問い詰めてくるんです。
「OoS……の、Aさんって言うんですけど……」
彼はテーブルから肘を下ろして、背もたれにグッとのしかかって息を思いっきり吸い込んで「えっっっ知らねぇ…………」とため息に混ぜるように吐き出しました。
でしょうね。彼女、特に地位が高いとかでもないですし。
「情報局なら俺結構関わる機会あるし、今度行った時にちらっと見てみるわ。エミさんのお眼鏡に叶う女、かなり気になる」
「あんまり変なイメージを植え付けるような真似しないでくださいね？」
「はいはい、もちろん。なんならちょっと良い感じにしてこよーか？」
こほんとわざとらしく咳払いを一つ。
「……間に合ってます」
そんな会話をしたのが数ヶ月前。
仕事の合間を縫って生活用品を買い出しに街に降りて来た私は、ついでにAさんにも何か用意しようかだなんて浮かれて雑貨店の立ち並ぶ路地に立ち入ったあたりでした。
前の方に見える後ろ姿が妙に見覚えがあって、思わず足が止まってしまいました。気をつけないと、手に持った荷物も落ちてしまいそうで。
見間違えるはずがない。Aさんと彼でした。
瞬間、悟ったんです。取られたんだと。自分の恋人でもないくせに。
いつから？どうして？私が話したからでしょうか？
距離の近い二人を視界に入れたままが辛くて、咄嗟に来た道を引き返して。私何やってるんでしょう。
「友人のままだなんて、私嫌なんです」
だからって知人にグレードダウンしなくたって。
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元青磁(プロフ) - 森。さん» ﾜ°……！？あばばばばありがとうございます(；▽；) (4月18日 20時) (
レス) id: d3f69151ea (このIDを非表示/違反報告)
森。(プロフ) - この甘すぎずさっぱりしすぎずの距離感好きです！！！ (4月18日 17時) (レス) @page20 id: 21990a494b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：元青磁 | 作成日時：2024年4月9日 4時
