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「こっちだっけ……」
道に迷った。
夜は暗い。当たり前だが。
夕方にはポーションが売り切れ、店じまいをしていると、カイラの忘れ物を見つけてしまった。
大したものじゃなければ、持ち帰って次回市場に行く時に渡せばいいのだが、これはそういうわけにもいかなそうだ。
なぜなら、彼が忘れたのは、ランカーである証の紋章入りバッジだったからだ。ランカーにしかない特権というのは結構ある。
一部の歴史的建造物や、冒険者協会本部にあるランカー専用の施設などに入る時は、これが必要らしい。
今の冒険者協会について詳しくは知らないが、多分これがないと困るだろう。
「ここどこだ?」
海のように広い心を持つ私は、市場を出たあと、冒険者協会にこのバッジを届けようと向かっているわけだ。
だが慣れないことはするものじゃない。
冒険者協会なんてほとんど行くことがないから、道が分からなくなってしまった。
適当に歩いていたら人気も少ないような道に来てしまったのだから更にタチが悪い。
いや、ほんと、ここはどこなんだ。
「はぁ……」
私は溜息をつきながら、夜道を照らす魔法を使った。
道には人影がほとんどない。冒険者協会ってこんな変なところにあるのかな。
けど今はそんなことより…………
「何か用?」
私が空間に向かって話しかけると、物陰から一人の男が出てきた。
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作者名:星月未来 | 作者ホームページ:https://mypage.syosetu.com/2614418/
作成日時:2024年4月18日 19時